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Vol.1: 航海にマップは必要だが、ロボット船長のオートクルージングには注意が必要だ

米国ボストンにあるマーケティングプラットフォーム提供企業 Curata の CEO である Pawan Deshpande さんがまとめたコンテンツマーケティングツール一覧があります。

昨年 (2014年) 夏にその存在を知りましたが、今年 (2015年) 1月末に更新され、相変わらず “The Ultimate List” (究極のリスト) の名に恥じない一覧が掲載されています。

あのサービスが消えている、など一抹のさみしさもありますが、むしろ新たな領域の勃興とそこでの覇権の獲得を目論むニューカマーの群れにシンパシーを感じるのは、私がリサーチ & ディベロップメントグループに所属しているからでしょうか。

その勢力マップを直接このページに貼り付けたいものの、彼らとの約束 (「再投稿を禁じます」) があるため、ぜひこのリンクからオリジナルポストをご覧いただきたいと思います。

コンテンツマーケティングツール界隈で今、何が起きているのか

「コンテンツ」に関わるものならば何でも、のラフな見立てがやや気になりますが、ざっと見渡すだけでも、幅広いカテゴリに大小様々な、老舗から新興企業までがぎゅっと収められています。

総合マーケティング自動化ソフトウェアの巨人 MarketoHubSpot から、コンテンツ制作、Eメールマーケティング、ソーシャルメディア分析などのおなじみのサービスまで。母国語でのサービス提供を支援する「ローカライズ」系や、オンラインカンファレンスの開催を容易にする「ウェビナー」系までもその生態系に組み込まれているのは、広大な北米大陸発のリストだから、かも知れません。

昨年 (2014年) 夏のマップと見比べてみると、明らかに「コンテンツ制作」系が細分化していることが分かります。また、その系統としての、時間と場所を越えた共同作業を実現するための「コラボレーション」ツール群も何度目かの活況を呈している様子。

彼らのマップには掲載がありませんが、広義のコラボ系に属するであろう法人向けチャットツールのニューヒーロー Slack は、機能ではなくその微細なチューニングと親しみやすさの実装 (デザインを担当した Metalab の Andrew Wilkinson さんによる Medium のエントリ [日本語訳Ver.]では「秘伝のタレ」と洒落ています) で数十億ドル規模の市場を席巻しつつあります。その意味において、”コンテンツ” “マーケティング” “ツール” の3つのワードをきちんと再定義し、この2015年に問い直すことは実に有効でしょう。

その細分化されつつある「コンテンツ制作」系で、今シーズン、従来のグラフィック/オーディオらの横に並び始めたのがインタラクティブコンテンツです。

当社においても、ワイン片手に知識と楽しみを得られるばかりか、オフラインにおいて有能なアシスタントとしても機能する「フランスワインのヴィンテージチャート」を公開しています。デスクトップでしんみりウェブをサーフする時代は遠くなり、片手で楽しむことのできるコンテンツ制作の需要は、Andrew さんの「秘伝のタレ」になぞって言えば、「公然のスパイス」です。

これからどう変化していくのか

コンテンツの提供を元手に、自らの企業の価値や顧客との親密さをより高めたい、という思いは、全てのビジネス活動と多かれ少なかれ関連を持つ時代。それを効率化/自動化して差し上げましょう、というツールの群れが上述の Pawan さんのマップということになるでしょう。

航海にマップは必要だが、船長がロボットのオートクルージングには注意が必要です。目的地と経路はやはり自らの目で厳しくチェックするべきでしょう。

先日、 Infer の CEO である Vik Singh さんによる、マーケティング自動化サービスのマーケットシェアについての面白いエントリがありました。

あまりに多様化し、標準性を欠いた乱雑な現状の紹介と共に、大きな価値を提供するはずのソフトウェア投資の効果はわずか7%、というものです。

メールマーケティングに端を発した自動化への長く曲がりくねった道は、今や、データサイエンスとそれに基づくビッグデータの分析、その結果を取り込み、意思決定へと促す小回りのきく専門的ソフトウェアへと回帰しつつあり、一方、オープン性を持つプラットフォームがちらほら登場しています。

予測分析ソフトウェアベンダーを経営する Vik さんの説には多分にポジジョントークも含まれていますが、市場調査、商品企画、宣伝広告としての「マーケティング」という語句のそもそもの意味が「新しい市場の創出」であることは、忘れてはいけないと考えます。

我々のようなスタートアップ企業には、創造力から生まれるクリエイティブな営為を忘れず、新しい価値や発想を創り出すことが大切なのだ、と、Pawan さんのマップを眺めるたびに思うのです。

ハチス
1990年代前半の国内におけるインターネット登場前夜より、オンラインコミュニケーションの魅力とその可能性に夢中となり、やがてビジネスとして、多様なコンテンツを媒介に参加者主導でドライヴさせながら、もうひとつの社会的枠組みをオンラインに現出させる、という試みを各所にて行う。デジタルフォトの領域で7年、音楽/ITイベントの領域で6年、など、時期ごとに旬なコンテンツと人とを結びつける企画/制作を数多く手がける。 草創期からインターネット上に "コンテンツ" のないウェブサイトはなく、そして今や、オンライン/オフラインの区別は限りなく取り払われ、世代や国籍を越え、優れたアイディアを持つ人がそこでの "マーケティング" (市場創出) にますます参画することになります。実社会のオルタナティヴとしての役割を終えようとしているこの場所で、我々がお手伝いできることは多いと感じています。

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ハチス
1990年代前半の国内におけるインターネット登場前夜より、オンラインコミュニケーションの魅力とその可能性に夢中となり、や...

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