近年、企業間取引(BtoB)を行う企業のマーケティング部門やセールス部門で、見込み顧客獲得に有効といわれるホワイトペーパー。リモートワークが進む中、営業手法が変化し、ホワイトペーパーへのニーズは増えています。一方、ホワイトペーパーを導入し、見込み顧客の獲得はできているけれど、商談や売上げにはつながっていないというご相談も増えてきました。
この記事では、商談の獲得や売上げに繋げるために理解しておくべき、ホワイトペーパーの役割やポイントについて解説していきます。
ホワイトペーパーとは?
ホワイトペーパーは「白書」に由来し、政府や公的機関が発表する報告書を意味します。マーケティングでよく使われるホワイトペーパーは、企業の抱える課題と解決するための情報をまとめた資料として、見込み顧客に配布されるものを指します。
製品の性能比較や活用方法など、課題解決のための情報を提供すると同時に、自社の製品やサービスをアピールし、リード獲得や関係構築ために活用されるケースが増えています。
ホワイトペーパーの種類
次に、ホワイトペーパーとしてよく使われるものを見ていきましょう。調査レポート、導入事例、ノウハウ、お役立ち情報、社員やスタッフのインタビュー、営業資料など、ホワイトペーパーにはさまざまな形がありますが、主に以下の4つにカテゴライズできます。
・課題解決型
ホワイトペーパーとして最も一般的なタイプ。課題を抱えて解決策を模索している読者層むけ。読者がもっているであろう課題を明らかにして、顧客が取り得る解決策を提示する。
・事例紹介型
自社の製品やサービスによって課題解決した事例を紹介する。顧客が自らの状況を照らしならサービス導入による変化をイメージできる豊富な例を提示する。
・レポート型
自社が実施したアンケートの結果や業界情報、分析内容を含んだ、本来の意味である「白書」に近い内容。調査に基づいた根拠ある情報を使用し、価値のある情報提供を行う。
・エデュケーショナル型
読者がまだ知らない新しい知識を提供するタイプ。製品やサービス、またそれらによる解決策を直接売り込むのではなく、自社の専門知識を活かしつつ中立的な立場で、特定のテーマについての基礎知識や研究結果、調査結果などの情報提供を行います。
ホワイトペーパーのマーケティングでの位置づけと役割
ホワイトペーパーには、営業資料やサービス資料のように自社製品やサービスのメリットについてまとめたものだけでなく、見込み顧客にとって役立つ情報やよくある課題をまとめた潜在層向けの資料も含まれます。特に潜在層に向けたホワイトペーパーは、リード獲得や商談につながる重要な役割を担っています。
フェーズごとの役割を見ていきましょう。
集客
ホワイトペーパーだけでは集客できませんが、知ってもらう経路を作ることで、集客に寄与します。例えば、ホワイトペーパーに関するバナーや画像を作成しSNSや広告で拡散することで、新規の閲覧者を獲得することができます。
リード獲得
ホワイトペーパーの大きな役割はリード獲得です。見込み顧客が興味を持ってくれるホワイトペーパーを利用して、関係性を作っていくためのきっかけとします。ホワイトペーパーをダウンロードする際、メールアドレスを登録し、その後も定期的に情報を受け取ってもらえるようにします。
関係構築
ホワイトペーパーの魅力は、リード獲得後にも発揮されます。見込み顧客の検討ステージに合わせてホワイトペーパーを通じて情報提供を行い、自社に対する興味や関心を高めていきます。例えば、課題別のサービス活用事例を通じて、見込み顧客の課題を掘り起こすと同時に、サービスを利用した際のイメージを喚起していくことができます。
商談・購入
商品やサービス検討時に必要な情報、知りたい情報をホワイトペーパーでわかりやすくまとめておくと効果を発揮します。検討時にサービス理解が進むと、スムーズに商談を進めることができます。
ホワイトペーパーのメリット
ホワイトペーパーを使うことで得られるメリットとしてどのようなものがあるか見ていきましょう。
企業情報や個人の情報を獲得できる
リード獲得の段階では、ホワイトペーパーやお役立ち資料を提供をすることで、企業情報や個人の情報を取得することができます。メールアドレスなど連絡する手段を得ることで、関係構築の段階に繋げていきます。
見込み顧客のニーズを顕在化できる
業務のノウハウや市場調査データなど業務に役立つ情報や、サービス分野の基礎知識、課題別や業種別の事例集など、幅広いテーマでホワイトペーパーを用意することでさまざまな段階でのリード獲得ができます。
また、ホワイトペーパーを複数用意しダウンロード状況を確認することで、「見込み顧客の検討段階が進んでいるか」「商談に繋がりそうな見込み顧客か」など、見込み顧客の段階を確認、分析することができます。
継続的な関係が築ける
見込み顧客それぞれの段階に相応しいホワイトペーパーを継続的に発信し、接触機会を確保することで、長期的な信頼関係の構築を可能にし、マインドシェアを獲得します。
社内説得と営業活動を効率化できる
導入検討に関して情報収集者と決裁者が別であるケースがあります。また、導入決定にあたり、稟議が必要になることも珍しくありません。そんな時にホワイトペーパーは社内説得を円滑にする資料、稟議提出時の添付資料として有効に機能します。
また、これまで訪問や電話などを中心に行われていた営業活動を、マーケティングチームやインサイドセールスチームと協力して進める体制に変更することで、多くの見込み顧客にアプローチができます。見込み顧客の検討段階に見合ったコミュニケーションをはかることができ、製品やサービスのより本質的な利点を効率的に提示することで、詳細な検討を行ってもらうことが可能となります。
成果につながるホワイトペーパー
次に、どのようなホワイトペーパーが自社の成果につながるのかを考えていきましょう。リード獲得や検討段階では、サイト訪問者に興味を持ってもらいダウンロードしてもらう必要があります。また、サービスや製品の導入を検討中の人が見たときに、きちんと理解できるものでなければいけません。
まとめると成果につながるホワイトペーパーは
- 興味を持ちダウンロードしたいと思う企画
- 一目で理解できる内容、デザイン
が必要となります。
企画は想定される閲覧者が知りたいことや課題に感じていることを元に作成されます。普段から顧客と接している営業部門やサポート部門のメンバーにも相談しながら進めると効果的です。
一方、一目で理解できるホワイトペーパーにするためには、どのような情報構成にするか、どのようにデータを可視化するかが重要になります。閲覧者に知ってもらいたいことはたくさんあるでしょうが、すべてを詰め込むと情報量が多くなり、読んでもらえなくなります。そのため、情報を取捨選択し、閲覧者の課題を解決するものに絞り込むとよいでしょう。
また、見やすさを求めて、必要以上に情報を削ってしまうことにも注意しましょう。情報量をできる限り保つため、イラストや図版、インフォグラフィックを利用して、情報量と見やすさとのバランスをとる必要があります。
ホワイトペーパーを作るための5つの工程
続いて、ホワイトペーパーを作るための5つの工程についてご紹介します。
1.自社サービスのユーザーを理解する
まず最初に企画のための情報収集を行います。普段からユーザーと接している営業部門やサポート部門のメンバーに話を聞いてみることが効果的です。また、普段利用している資料やマニュアルがある場合、ホワイトペーパーの材料として活用できるので、共有してもらえるか確認してみましょう。
また、この段階でユーザーについての情報を改めて言語化しておきましょう。ユーザー像をメンバー間で共有することで、認識のずれを防ぎ、ホワイトペーパーの制作やその後の施策でも一貫性をもって進めることができます。
特に、以下の点についてまとめておきましょう。
- ユーザーの属性(役職や役割、関心事など)
- ユーザーの行動の流れ(情報収集や検討など、どのような手順を経るか)
- ユーザーが自社製品やサービスを必要とする背景
2.ホワイトペーパーのターゲットや行動を検討する
次に、「自社サービスのユーザーを理解する」で明らかにしたユーザー像をさらに深掘りしていきます。ユーザーがどのような課題や悩みを持っているのか、その際にどのような情報をどのような経路で提供するのがよいかまで具体的に検討できているとよいでしょう。
3.ホワイトペーパーの企画を考える
ホワイトペーパーの企画では、課題や悩み事を元に、見込み顧客の興味を引きそうな内容を考えましょう。ゼロから考えるのが難しい場合、営業資料やマニュアルなど、ユーザーの課題や悩みを解決するために実際に利用されているものが社内にあるはずですので、参考にしてみましょう。
4.ホワイトペーパーの構成を考える
次にホワイトペーパーの情報構成を考えます。企業側から見込み顧客に伝えたいことをすべて盛り込もうとすると膨大なページ数となり、見込み顧客が本当に必要としている情報にたどりつけないものとなってしまいます。課題や悩みを解決するために必要な情報に焦点をあて、取捨選択するとよいでしょう。
5.ホワイトペーパーをデザインする
いよいよホワイトペーパーを制作します。構成の段階で情報を取捨選択したとはいえ、すべてをテキストで表現しようとするととても見ずらいホワイトペーパーになってしまいます。文章で書かれているものをイラストや図版、インフォグラフィックでうまく表現できないか、文章が読みやすいデザインにできないかなどをデザイナーと相談しながら制作を進めていけると、一目でわかりやすいホワイトペーパーを作ることができます。
ホワイトペーパーでやってはいけないこと
折角作ったホワイトペーパーでも、いくつかのポイントを押さえないとうまく生かしきれません。例えば、ある分野について調べ始めた人にとって、専門用語の並んだホワイトペーパーは有効でしょうか?なるべくわかりやすく、読みやすい内容で書かれているホワイトペーパーの方が役に立つでしょう。
以下で紹介する「やってはいけないこと」を押さえ、わかりやすく、読みやすい、訴求力のあるホワイトペーパーを目指しましょう。
やってないけないこと | 具体的な対策 |
---|---|
ホワイトペーパーの押しつけ 見込み顧客がまだ自社の製品やサービスに興味がない段階で、無理にホワイトペーパーをダウンロードさせようとする。 | 見込み顧客の検討段階をきちんと定義し、段階に応じた適切なコミュニケーションを取れる体制を作りましょう。 |
わかりにくいホワイトペーパー 文字だけで構成されたホワイトペーパーや、専門用語が多用されているホワイトペーパー、意味のない図やイラストを多用したホワイトペーパーを作ってしまう。 | 内容の取捨選択や構成の入れ替え、またイラストやインフォグラフィックの利用を検討し、情報量を減らさずわかりやすいホワイトペーパーを作成しましょう。 |
トレンドしか追っていないホワイトペーパー トレンドの用語や内容をまとめたが、自社の製品やサービスのターゲットと大きくずれた対象に向けてホワイトペーパーを作ってしまう。 | 自社の製品やサービスのターゲットを設定し、読者が興味を持つであろうトレンドを把握したうえで、ホワイトペーパーを作成しましょう。 |
内容が薄いホワイトペーパー 具体性や専門性に乏しく、対象読者の期待に応えられないホワイトペーパーを作ってしまう。 | 社内の専門家へのヒアリングや営業メンバーへのヒアリングもとに、具体性のあるホワイトペーパーを作成しましょう。 |
ホワイトペーパーを知ってもらうための施策
ホワイトペーパーを作ったあとは、読者にどう届けるかが課題となります。以下のような方法を組み合わせながら、ターゲットに届けられるようにしましょう。
・自社のWebサイトへの掲載
誰でもダウンロードできるように自社サイトへ掲載しましょう。サイトを訪問したユーザーがホワイトペーパーを見つけやすいようにメニューにリンクを設置するなど、導線設計が重要になります。
・メールの活用
過去に問い合わせや名刺交換をした方、メルマガ登録しているユーザーに対して、メールを活用しホワイトペーパーを紹介していきましょう。ホワイトペーパーを複数用意しておくことで、検討段階にあわせた情報提供が可能になります。
・SNSの活用
すでに自社でSNS運用を行っている場合、SNS投稿でも紹介していきましょう。SNS上で広告として配信することも可能で、新たなターゲットの発見にも役立ちます。
・プレスリリースの活用
アンケート調査や業界レポートなどのホワイトペーパーでは、プレスリリースを活用することも効果的です。公共性が高く、有用な内容であれば、新聞やニュースメディアに取り上げてもらえる可能性が高まります。
・広告、外部メディアへの掲載
広告やホワイトペーパーを掲載している外部メディアを利用してダウンロードを促しましょう。外部サービスを利用することで、これまで接点を持てていなかったユーザーに見つけてもらえるようになります。
まとめ
コロナ禍でテレワークが当たり前になる中、商談を獲得し売上に繋げるために、ホワイトペーパーは重要な役割を担っています。ホワイトペーパーを通じて、リードの獲得を行うだけでなう、見込み顧客への情報提供、コミュニケーション手段としても効果を発揮します。まだ、活用していないという企業でも、社内にある資料から作ることができるので、まず1つ作ってみることをおすすめします。
また、SEOやプレスリリースなどの集客とあわせて施策することで、より多くの人に見てもらうことができます。ただホワイトペーパーを作るのではなく、マーケティングでの位置づけと役割を意識して、成果につながるホワイトペーパーを目指しましょう。
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